財団法人 こども未来財団
 
   〒105-0003
 東京都港区西新橋3−3−1 西新橋TSビル8F
 TEL.03-6402-4820(代表)/FAX.03-6402-4830
 
更新情報 ホームページについて プライバシーポリシー お問い合わせ

こども未来賞第13回>こども未来財団賞


こども未来財団賞
 〜「創意工夫でエンジョイ・育児!」〜
田中加枝
職業 主婦
住所 長崎県
▼ 戻る

 私の夫は海上自衛官で、国防に携わる仕事をしています。護衛艦に乗り、海の上で働く彼は、一度出航すればしばらく家には帰らず、私は二歳になる娘と数日間二人きりで暮らすことになります。

 「『亭主元気で留守がいい』だね」と、おもしろがって言う人もいますが、転勤してきたばかりの地で、我が子とマンツーマンで向き合うのは、想像以上に大変なことでした。最初のうちは実家へ帰っていましたが、ある時(毎回実家へ帰るのではなく、ここで、二人で楽しく暮らす方法を工夫してみよう)と決意しました。

 まず、近所の子育て支援センターを調べて行ってみると、笑顔の保育士さんが親切に迎え入れてくださいました。お部屋にはたくさんのおもちゃがあり、先生が手遊びをしてくれたりみんなでお弁当を食べたりします。娘は同じくらいの年齢の子供たちと一緒に遊べることが、嬉しくて仕方ない様子でした。私と二人の時には見せないような表情、笑い声をあげてお友達を追いかける姿に、(連れてきてよかった)と、胸を撫で下ろしました。

 そして私も自分と同じ子育て中のママたちと交流することで、日頃から感じている子育ての疑問や不安を話すことができ、とてもすっきりしました。日々成長する娘に関する話題は毎日あるので、それを話す相手(夫)がいないことは、小さなストレスでしたが、ここで解消することができました。

 別の日には図書館へ行ってみました。児童書の閲覧室には未就学児でも、絵本を手に取り、座って読めるコーナーがあり、娘は早速目を輝かせて本に手を伸ばします。また、よみきかせ会や手遊び会も開催されており、小さいうちから本を好きになるようなアプローチをしてくれていました。ここもまた、私の心細さを打ち消してくれる安寧の場所となりました。

 それから、生活する官舎にも小学生以下の子供らがたくさん外で遊んでおり、娘と私を見かけると積極的に声をかけてくれました。官舎の敷地内にある公園に、娘の手をひいていけば、一緒にボール遊びやなわとびをしてくれるお友達がたくさんいました。

  私が心がけたのは夫が不在でも「めりはりのある生活」をすることでした。やってみて思ったのは、いろんな人や場所のお世話になり、活用し、情報をもらって交流すればするほど、育児はどんどん楽しくなるということです。家に子供と二人きりで閉じこもれば、誰だって子育てに倦み、疲労感だけが増すと思います。いざという時サポートしてくれる施設を知っていれば、それは育児中のママの「強み」になるのです。

  娘に遊び場を提供することは、結果的に親である私の喜びにもつながっていきました。様々な出会いがあり、素敵な会話がありました。(私は一人ではない)(誰もが子育てを一生懸命やっている)と知ることで、閉じていた窓が開き、風が入ってきたような気持ちになりました。

 昔はどの家庭も大家族で、祖父母や兄弟がおり、生まれてきた赤ん坊をみんなで育てたことでしょう。ですが現代、特に我が家のように転勤族かつ核家族の場合、母親の積極性こそ大切なのではないかと思います。

  子育てってそんなに大変なのか、と思われるかもしれませんが、もちろん素晴らしい感動や喜びもたくさんあります。先日、娘に初めてリュックサックを背負わせてみました。すると、にっこりしてとても気に入った様子。しばらく背中を振り返りながら、歩いたり座ったり走ったりしていました。

 その姿を見て私はふと思いました。この人は今日、初めて「背負う」という行為をしたのだなあと。これから先、遠足のリュックやランドセルを背負う背中、大人になり、母親となって、自分の子を背負うであろう背中、万が一には年老いた私や夫を背負うかもしれないこの背中が、初めて荷物を背負ったのが、今日という日なのだなあと。そう思うと胸の真ん中に熱いものがこみ上げてきました。こうした新しい第一歩を踏み出す瞬間を誰よりも先に見ることができるのは、母親の特権だと思います。そして(もう一度、あの日に帰りたいな、よちよち歩きだった娘に会いたいな)と思ってもやり直しができないからこそ、育児は尊く、やりがいのある仕事なのだと思います。

  最後に、たとえ夫が仕事で忙しくとも、私が育児で疲れていようとも、娘の成長について、話し合える時間を極力持てるようにしよう、というのが私たち夫婦お互いの意見です。矛盾するようですが、どんな支援センターよりも、最善のサポートをしてくれるのはやはり夫です。家庭での彼は、本当にアットホームな優しいパパ。私も娘も甘えっぱなしです。これからも、彼が安心して働けるよう、娘と二人の生活も、楽しく明るくスマイルで乗り切っていきたいと思います。


詳細については、当財団事業振興部企画課(03-6402-4823)までお問い合わせ下さい。

(C) 財団法人こども未来財団 All Rights Reserved.